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ハステロイの微細加工事例紹介

ハステロイとは

ハステロイは、耐食性・耐熱性に特化したニッケル合金です。ニッケルをはじめとし、クロム・モリブデンなどのさまざまな合金部分を添加されて作られています。

ハステロイの特徴

ハステロイは耐食性に優れていることから、硫酸・硝酸・塩素などの酸化性雰囲気でも耐久性を発揮します。また、耐熱性も高く、高温度下での機械的強度が高い点も特徴です。

高温度下での機械的強度の高さや耐食性はもちろんですが、硫酸や硝酸、塩素などの酸化性雰囲気においても耐久性の高さを誇ります。およそ1100℃の耐熱性を誇り、かつ腐食に強いことから腐食防止塗装・メッキ加工が不要です。

ハステロイには最初に開発されたC276。クロム含有量の高さからC276よりも高い酸化性媒体に強い耐性を誇るC22。還元性酸処理用反応容器に活用されるB3。さらには加工性・高温強度に優れているX等、いくつかの種類に分類されています。

注意点として、機会的な負荷がかかる場所には向きません。圧力がかかるような場所への採用は避けるようにしましょう。

ハステロイの種類

ハステロイC276

耐食性の高さが特徴のハステロイで、広く普及しています。ニッケルやクロム、モリブデンを材料にしています。耐熱性もあることから、幅広い産業分野で用いられています。

ハステロイC22

クロムの含有量が高いハステロイの種類です。C276と比べ、耐食性が高くなっています。塩化物誘発孔食にも効果的で、化学系プラントや電解めっきなどに使われています。

ハステロイB

塩酸や硫酸、リン酸などに対する耐食性を持つハステロイの種類です。Bを改良したB2や、さらに改良を加えたB3などがあります。いずれも耐食性が高く、化学関係の設備で用いられています。

ハステロイX

耐熱性や耐食性のほか、加工性の高さが特徴のハステロイです。高温にも耐えることから、炉やタービン、化学品の精製設備などで利用されています。

ハステロイの用途

耐食性と耐熱性の高さが特徴のハステロイは、高温かつ浸食が見られる場所で活躍しています。例えば化学プラントの装置部品やポンプ・バルブといった化学装置部品として使用されています。また、我々の身近なところでは航空機のジェットエンジンに使用されています。

エンジンは稼働させることで高温となることから、耐熱性の高さが求められる部分なのでハステロイが仕様されています。耐食性の高さから酸洗設備に用いられることもあれば、他にも製紙産業、化学品精製、廃棄物処理、核燃料再処理施設、石油化学産業で採用されています。いずれも耐食性と耐熱性が求められていることから、ハステロイの強みが発揮されています。

ハステロイの加工の難しさ

ハステロイは優れた合金ではありますが、硬くて削りにくく加工が難しい難削材とされています。

これは、ハステロイの高温強度が大きい点・加工硬化が生じやすい・工具との親和性が大きい・熱伝導率が悪いといった点が挙げられます。

まずは高音に強い点。耐熱性の高さはハステロイのメリットでもあるのですが、耐熱性の高さは加工時にはデメリットとなってしまいます。また、加工硬化しやすいので工具の消耗を招く点や素材が脆くなることが懸念されます。金属は硬くなると靭性が損なわれるので割れやすくなってしまうのです。

さらには熱伝導率が悪いのも難点です。この点はメリットになる部分もあるのですが、「加工時」として考えるとデメリットとなってしまいます。素材が温まりにくく冷めにくいので、切削熱が逃げにくいためです。さらには素材と工具に溶着を起こし、精度を低下させます。工具も消耗が速いのでランニングコストが高くなるなど、いくつかの注意点があることも把握しておく必要があります。加工が難しいことから、ハステロイに適した工具や条件を選ばなければいけません。

また、物理的強度やクリープ強度・疲労強度はやや劣ることから、構造材などには使用できないといったデメリットもあります。

ハステロイへの加工対策

ハステロイは性質上、工具との親和性が大きく、工具と材料が癒着しやすい点や、削った分だけ材料が固くなることから、加工対策として工具をこまめに交換する方法が挙げられます。

また、熱伝導率が悪く、加工箇所が高温になるといった点に対しては、冷却するといった方法を取ることで対処することができます。

ハステロイの微細加工事例

ハステロイ接点バネ

・材質:ハステロイC-276、t=0.1

・備考:金属レスにて成形。精密板金加工にて製作しました。
 ハステロイはレーザー加工・エッチング加工・プレス加工といった精密板金加工の他に、精密切削加工やワイヤーカット・各種溶接加工が可能です。

ハステロイ微細穴加工

ハステロイ微細穴加工
引用元HP:EMIDAS 城陽富士工業株式会社
https://www.nc-net.or.jp/company/84368/product/detail/47445/

・精度:0.1mm〜1/100mm

・穴直径:φ0.1mm

・備考:最大板厚2.5mmの貫通で、130箇所の微細細穴加工をおこないました。ドリルはφ0.1を使用しています。

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微細加工を依頼する前に知っておきたいポイント

微細加工会社の選び方

微細加工会社を選ぶ際の大前提となるのが、「ISO9001認証を取得しているかどうか」と「工作設備が充実しているかどうか」です。

ISO9001認証は、厳しい審査基準をクリアした工場や会社だけに与えられる認証なので、これがあるだけでその会社は優れた技術力を持っているという証拠になります。また、工作設備の充実については、微細加工にはそれ専用の設備や機会が必要なので、設備が豊富な会社は、単純に対応できる加工の種類も多くなるのです。

微細加工会社には「精度」を重視する会社と「納期」を重視する会社があります

精度優先の会社は、特殊な工作設備や検査機器によって、加工が難しい依頼にも対応できます。しかし、高精度な加工依頼にも対応できる反面、短納期での製造が難しい傾向にあります。

納期優先の会社は、充実した工作設備によって単品から大口ロットの製造に一気に対応でき、結果として短納期での製造を可能とします。しかし、短納期で対応できる反面、常に高精度なものを製造できない場合もありますので、注意が必要です。

あなたの会社は精度を重視しますか?それとも納期ですか?このメディアでは精度に強みを持つ会社と納期に強みを持つ企業の中からそれぞれおすすめの企業を1社ずつピックアップしました。

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微細加工に対応する会社には大きく「精度」と「納期」を重視する企業に分かれます。自社の目的を明確にし、目的に合った企業選びをするようにしましょう。

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精度を重視するなら

いくら高精度の加工機器で加工したとしても、検査測定器で正確に検査して問題ないと判断されてはじめて高品質な製品の納品が可能となります。
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